蛍光灯は段階的に廃止され、コンパクト形蛍光灯は2026年末、直管・丸型蛍光灯は2027年末で製造・輸入が禁止となります。
LEDへの交換には大きな費用が必要となりますが、 LEDは省エネや長寿命などのメリットが多く、住宅や施設でLED化が進んでおります。
ここでは蛍光灯からLEDへ交換するメリット、自分で交換できること、電気工事業者へ依頼が必要なことをランプ形状別でまとめています。
蛍光灯からLEDへ交換する3つのメリット
①LEDは省エネ。約50%~70%の電気代を削減
事務所・店舗で多く使用されている40w-2灯の消費電力は84W(安定器含む)、同等の明るさのLEDは25W。約70%の電気代を削減。
低圧電気使用料を30円/KWh、1日8時間点灯した場合の1台あたりの電気代は、
・蛍光灯:20円/日、5,000円/年
・LED:6円/日、1,500円/年
LED化により3,500円/年の電気代削減
②LEDは長寿命
蛍光灯の寿命は約8,000~10,000時間、LEDは40,000時間と寿命が長く、ランプ交換の手間と廃棄費用が大幅に減ります。
蛍光灯は近年では毎年のように値上げがあり、価格が高騰しています。
③劇的に明るくすることができる
長年の使用により、蛍光灯は100%の明るさを発揮していないことが多いため、同等LEDへの交換でも明るさは改善されますが、LEDは明るさのグレードが多く、劇的に明るくすることも可能です。
4通りの蛍光灯からLED交換方法と特徴
蛍光灯からLEDへの交換は、知識があれば電気工事士の資格不要でできることから電気工事が必要な工事まで、大きく4通りの交換方法があります。蛍光灯器具の耐用年数は10~15年のため、オススメは器具をまるごとLED器具へ交換することですが、メリット、デメリットを理解して選定して下さい。
①蛍光灯照明器具をまるごとLEDへ交換する
天井に引掛シーリング等が設置されていれば、誰でもLED器具へ交換ができますが、電線が照明器具へ接続されている場合は電気工事が必要。
メリット
- 全て新品となり、長期に渡り安心して使用可能
- 明るさ、LEDランプ色の選択肢が広い
デメリット
- 初期費用が高い。直管40W-2灯の蛍光灯器具を同等の明るさのLEDへの交換で22,000円程の費用が必要です。(LED器具代、交換費用を含む。※台数が多いほど割安となります)
②安定器バイパス工事+LEDランプ設置
照明器具本体をそのまま使用して、安定器をカットする工事を行い、LEDランプを設置する工事は大手企業でも多くの実績があるLED化方法ですが、建物内に蛍光灯とバイパス工事済が混在すると、間違ったランプへ取替えるリスクがあり危険です。
メリット
- 器具丸ごと交換より初期費用が安い
- 器具まるごと交換と同等の省エネ性
デメリット
- 器具本体を流用するため、本体やソケットが耐用年数を超えた使用となり、ランプ落下などの不安は残ります。
③工事不要のLED直管・丸型・コンパクトランプへ交換する(自己責任)
安全面から国内大手照明メーカーは、蛍光灯から工事不要で使用できる直管・丸型・コンパクト型LEDランプを販売していません。(LED電球のみ販売されています)
メリット
- 電気工事が不要なので、知識があれば誰でも安価にLED化できる。
デメリット
- ラピッド式、グロー式、インバーター式など、安定器種類が多く、選定が難しい。間違ったLEDランプの使用は火災事例があります。
- 省エネ性能が低い。
- 全てではありませんが、安定器をそのまま使うことが多く、安定器が故障した場合は点灯しなくなります。
④電球型蛍光灯からLED電球へ交換する
安全面から国内大手照明メーカーは、蛍光灯から工事不要で使用できる直管・丸型・コンパクト型LEDランプを販売していません。(LED電球のみ販売されています)
メリット
- 誰でも簡単にLED電球へ交換可能
デメリット
- 特にありませんが、口金のサイズ、形状、光の広がりなど、かなり種類が多いため、空間に合うLED電球を選びましょう。
ランプ形状別のLED交換方法
電気工事士の資格不要でできること、できないこと
直管蛍光灯
主に20W,40W,110Wの種類があり、住宅ではキッチン照明、棚下灯などで設置されていることが多く、 事務所・店舗などの施設では全体的に設置されています。LED化の方法は、①器具全体を取替える。②器具本体を流用し、安定器バイパス工事を行い、LEDランプを設置する。2通りの工事方法が一般的ですが、どちらも電気工事が必要となり、電気工事士の資格と知識、技術を要します。
1. 器具全体をLEDへ交換する
- 直管蛍光灯の器具全体をLEDへ交換する工事は、電線を接続する電気工事が必要。
- 器具をまるごと取替えるため、工事費用は高くなりますが、 全て新品となり長く安全に使用できます。
直管蛍光灯→LED取替工事 施工例
40W-2灯の直付蛍光灯をLED器具へ交換
直管蛍光灯→LED取替工事 施工例(2)
棚下灯20W蛍光灯をLED器具へ交換
2. バイパス工事を行いLEDランプを設置する
- 安定器に接続されている電線をソケットへ接続する電気工事が必要。
- 器具本体はそのまま使用します。工事費用は安価ですが、器具本体は 耐用年数を超えるため、ソケット焼損、破損によるランプ落下の懸念が残ります。
LEDバイパス工事施工例
40W-2灯の直付蛍光灯をLED器具へ交換
丸型蛍光灯
丸型蛍光灯は、住宅の照明器具、屋内外用の小型照明器具で多く使用されています。
丸型蛍光灯の照明器具のうち、引掛シーリング等が設置されている場合に限り 電気工事不要でLEDシーリングライト・LEDペンダントライトへの交換が可能です。
引掛シーリングが設置されておらず、電線が直接照明器具へ接続されている場合は 電気工事が必要となりますので、電気工事業者へ依頼しましょう。
1. 引掛シーリングが設置されていれば電気工事士の資格不要でLED器具へ交換できます
天井に引掛シーリング、ローゼットが設置されていましたら、電気工事不要で蛍光灯からLEDシーリングライト、LEDペンダントライトへ交換できます。しかしながら、蛍光灯照明器具はかなり重いこともありますし、脚立作業に慣れていない方や不安な方は電気工事業者へ依頼しましょう。
2. 電線が直接接続されている蛍光灯器具は電気工事が必要
丸型蛍光灯が2~4灯ある照明器具、屋外に設置されている蛍光灯器具には引掛シーリングが設置されておらず、電線が直に接続されていることが多くあります。
このような場合は照明器具を撤去して引掛シーリングを取付けてもらい、LEDシーリングライトを自分で設置する、LED器具へ交換してもらうなど、電気工事が必要となりますので電気工事業者へ依頼しましょう。
丸型蛍光灯器具取替工事 施工例
コンパクト蛍光灯
コンパクト蛍光灯は、主にダウンライト、スクエア(四角)照明器具で多く使用されています。 電気工事不要のLEDランプも販売されておりますが、安定器をそのまま使用することになりおすすめできません。 コンパクト蛍光灯からのLED交換は、器具ごと交換が一般的で、電気工事が必要となります。
コンパクト蛍光灯→LED器具取替工事 施工例(1)
FPL36形-4灯の直付蛍光灯をLED器具へ交換
コンパクト蛍光灯→LED器具取替工事 施工例(2)
FDL18形ダウンライトをLEDダウンライトへ交換
電気工事業者へ依頼するLED工事費用の目安
蛍光灯からLEDへの交換工事を電気工事業者へ依頼した場合の工事費用はいくらくらいでしょうか?気になる工事費用をシーリングライトやダウンライトなど、器具種類別に解説します。
シーリングライト・ペンダントライト
シーリングライト・ペンダントライトの交換費用は、①~④の合計となります。
①LED照明器具代
6畳~20畳程までありますが、シンプルタイプでしたら10,000円~ 30,000円程で販売されています。業者から購入する場合は定価の50%引き程となります。
②交換工事費
天井高3m以内、引掛シーリング設置済でしたら取外し→取付けまで1台あたり8,800円程となります。複数台交換の場合は2台目以降は4,400円程です。出張費、交換費などの項目がある業者も多いですが、それらを含んだ交換工事費総額で1台8,800円程、2台目以降は4,400円程が適正価格です。
③蛍光灯照明器具処分
取り外した蛍光灯照明器具を業者へ処分してもらう場合は1台あたり1,500円程が必要です。照明器具は自治体のゴミとして処分できることが多くありますので、確認してみましょう。
④追加費用
主な追加費用として、引掛シーリングが設置されていない場合は3,000円程の引掛シーリング設置費用が必要です。
ダウンライト
ダウンライトの交換費用は、①~③の合計となります。
①LED器具代
住宅や小規模店舗で使用されるダウンライト器具代は、ランプ交換ができない一体型とランプ交換可能な交換型の2種類があり、LEDダウンライトの器具代は下記となります。
・一体型:2,000円~5,000円
・交換型:5,000円~8,000円
②交換工事費
天井高3m以内で脚立が安全に設置できる場合、取外し→取付けまで1台あたり8,800円程となります。複数台交換の場合は2台目以降は4,400円程です。出張費、交換費などの項目がある業者も多いですが、それらを含んだ交換工事費総額で1台8,800円程、2台目以降は4,400円程が適正価格です。
③ダウンライト器具処分
取り外したダウンライト器具を業者へ処分してもらう場合は1台あたり500円程が必要です。照明器具は自治体のゴミとして処分できることが多くありますので、確認してみましょう。
スポットライト・ブラケット照明
スポットライト・ブラケット照明の交換費用は、①~③の合計となります。
①LED器具代
どちらのLED器具も屋内用と屋外用と、人感センサーなどの機能付きがあります。
・スポットライト:8,000円~20,000円
・ブラケット:5,000円~20,000円 3,000円程
②交換工事費
天井高3m以内で脚立が安全に設置できる場合、取外し→取付けまで1台あたり8,800円程となります。複数台交換の場合は2台目以降は4,400円程です。出張費、交換費などの項目がある業者も多いですが、それらを含んだ交換工事費総額で1台8,800円程、2台目以降は4,400円程が適正価格です。
③蛍光灯照明器具処分
取り外したスポットライト・ブラケット照明器具を業者へ処分してもらう場合は1台あたり500円程が必要です。照明器具は自治体のゴミとして処分できることが多くありますので、確認してみましょう。
直管蛍光灯(器具まるごと交換)
事務所・店舗などで多く使用されている蛍光灯40W-2灯を LED器具へ交換する費用の目安は下記となります。
(表示されている費用にはLED器具、交換費用、処分まで含み、台数が多くなるほど割安となります。)
- 1台:22,000円
- 3台:60,500円
- 10台:165,000円
直管蛍光灯(LEDバイパス工事)
蛍光灯40W-2灯の器具本体をそのまま使用し、安定器をスルーさせるバイパス工事を行いLEDランプを設置する工事です。LED器具まるごと交換よりも安価にLED化が可能です。工事費用の目安は下記となります。
(表示されている費用にはLEDランプ、バイパス工事費用、蛍光灯処分まで含み、台数が多くなるほど割安となります。)
- 1台(2本):16,500円
- 3台(6本):48,400円
- 10台(20本):121,000円
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